ああ、しみじみと感じる。漬物って、本当に名脇役だよなぁ、と。食卓に何気なく置かれているけれど、その存在感たるや、侮れない。主役を引き立て、時には全体の味を引き締め、そして何より、食感と風味のアクセントを与えてくれる。
例えば、焼き魚。香ばしい皮とふっくらとした身はそれだけで十分美味しいけれど、そこにパリッとした白菜漬けや、キュウリの浅漬けが添えられていると、口の中がリフレッシュされて、また一口、と箸が進む。あの清涼感と塩味が、魚の脂っぽさを優しく洗い流してくれるんだ。
豚の角煮のような、こってりとした料理の隣には、しば漬けの紫蘇の香りとカリカリとした食感がたまらない。濃厚な味わいの中で、あの独特の風味が良いアクセントになり、最後まで美味しくいただける。
おにぎりだってそうだ。梅干しや昆布の佃煮も良いけれど、パリパリとしたたくあんや、ピリッとした高菜漬けが添えられていると、なんだかホッとする。素朴な塩味と、それぞれの野菜が持つ風味が、お米の甘みを引き立ててくれる。
それに、漬物って、その土地の風土や文化が色濃く表れるものだと思う。京都の千枚漬けの上品な甘み、奈良の奈良漬けの芳醇な香り、秋田のいぶりがっこの燻製の風味…その土地ならではの素材や製法で作られた漬物は、まさにその土地の味そのものだ。旅先で色々な漬物を試すのも、密かな楽しみの一つだったりする。
決して派手ではないけれど、食卓にそっと寄り添い、それぞれの料理を陰ながら支える漬物たち。その控えめな佇まいの中に、確かな存在感と、奥深い魅力が詰まっている。今日、改めて、そんな名脇役である漬物に感謝の念を抱いた。ああ、今夜の食卓には、どんな漬物を添えようかな。ちょっと珍しい、地元の漬物でも探してみようか。